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神様の紹介

管理人のもやしいためが気に入った作品を掲載しております。

情報はリアルタイムではありませんのでご注意ください。

【170803】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
 この作品の主人公の後藤 瑛斗(ゴトウ エイト)が目指すのは、異世界で魔王を倒した祖父が持つ『勇者』の称号。憧れる祖父に追いつくため、幼いころから様々なことに挑戦して学び、十三歳でようやく『十六歳』を条件に異世界への渡航の許可が下りた。
 時は流れ、高校生になった瑛斗も十六歳。様々な期待と不安を抱えて飛び込んだ異世界で初めて出逢ったのが、タイトルにもなっているハイエルフのアーデライードだった…。
 平日は日本の高校生、休日は異世界で『勇者』を目指す冒険という、二足の草鞋を履く瑛斗の物語の冒頭。
―うちの裏山には、異世界へと通じるトンネルがある。
―戦時中、防空壕を作っていた爺ちゃんが、うっかり掘り当ててしまったのだ。
 
 この最初も最初のたった二行で「異世界気軽でめっちゃ近いな?!」とツッコミを入れてしまうもやし。『ギャグ系で一発屋じゃないよね…?』と不安になりつつ読み進め、一ページ目で密かに謝罪する羽目に。
 場面は日常のただの掛け合いなのに、描かれている情景が簡単に思い浮かぶ書き込み。しかし説明が多すぎてぐだることもないバランスの良さは、面白い以前にただただ上手い…感服してしまいます。
 
 ページを捲っていくと、ドジっ子ハイエルフが企画する駆け出し冒険者との旅が始まります。
この作品の主人公はまだまだ駆け出しで、最強どころか初心者でしかなく、むしろ同行者の方が強いため、人によってはやきもきするかもしれません。
 また、深い描写はそれだけ物語の進みが緩やかに感じられてしまうこともあります。が、読み込むほどに単語の背景に隠された、文章にされていない行動の理由が垣間見え、さらに面白さを感じること請け合いです。
 たとえば読み手がふいに意識を向けた先がしっかり描写されていたり、普段意識しないような仕草や情報がさらりと入っていたりと一緒に旅をしているような臨場感が漂います。そうした小さな表現や描写の積み重ねが、ただの文字でしかない小説を映像化させるような厚みを持たせ、さらに物語に引き込まれてしまいます。
 この辺りは絵も描くめたるぞんびさんと他の作者との大きな差異かもしれません。
 
 日本と異世界を行き来し、祖父が持つ『勇者』の称号を目指してハイエルフと旅をするこの作品。章の区切りにカラーの挿絵まで入っており、一読どころの価値ではありませんよ!
 
☆追記
 作中はすべて異世界なので、短編で日本の高校編とかやりませんかね…?
【170509】異世界〔恋愛〕
 ジャンルが『異世界〔恋愛〕』なのは真っ赤な嘘で、タイトルについている『悪役令嬢』にも不服です。
 いえ、言いすぎました…ある意味で異世界ですが恋愛要素はなく、間違いなく令嬢ですが悪者を武力で黙らせる戦闘民族。もやしが何故こうしたジャンル・タイトル詐欺が疑われる作品を紹介するかと言うと…ずばり『面白いから』です。
 部分的にも合ってるし、文章力から正解かもしれないと思わせてくれるほどなのです。
 
 物語は20年前、主人公のフィオリア・ディ・フローレンスの学生時代から始まります。
 類稀なる才能で武力・政治・経済と多分野で頭角を現した彼女に付いた綽名が『暴風の女帝』。その証明に16歳で学校を休学し、領主権限を父親から一時的に譲り受けて領地改革に勤しみ、たった一年とは思えない成果を上げます。
 17歳になったフィオリアは学校に復帰しますが…眠りにつくワンシーン以外は残念ながらほぼオールカット。すぐに場面は20年後の現在へと時間は進んでしまいます。
 
 こうした導入部から引き込まれる情報が、たった一話の中に収まっているという信じられないテンポの良さ。話を飛ばしているような印象がなく、不足なく選び抜かれた言葉と情報が並んでいるとしか思えない読みやすさが、次のページへと指を這わせます。
 それでは本編のお話です。
 たった20年の間に所属する王家は力を失い、代わりに力を得た地方領主が反旗を翻して国を作って独立。独立した小国は、フィオリアの父が治めるフローレンス公爵領と嫌がらせと小競り合いの毎日。
 救いは自領が発展していたことと、20年も眠り姫をしていたフィオリアの身体が17歳のままなこと。とはいえ、問題が山積みなのは間違いなく、フィオリアはまたも父親から領主権を奪い取り、解決の道筋をつけ始めます。
 
 ただ、彼女が相手取るのは環境や政治ではなく、原因となっている問題児を〆る形が多いので、解決策は武力行使か武力交渉のいずれか二択。何を迫ろうがまどろっこしい話を抜きにして、最終決断を最初に持ち出し直観的に物事を進めるフィオリアは、勧善懲悪でスカッとするには非常に最適です。
 
 ちなみにそれぞれの問題解決に要するのは大体二話。
 長期にわたって疑問を持ち続けるストレスは無く、話はスルスルと頭に入り込み、言葉を噛めば芳醇な味わいを感じて読み返せば深みに気付く。
 改めて言いますが、この作品の魅力は無駄な文字を削った読みやすさと、少ない文量でも十分伝わる情報の多さです。是非ともこの感覚を味わってみてください。
☆追記
 15歳の学園奮闘編と16歳の領地開拓記の番外っていうか別作品でやらないかなぁ…。
【170410】ハイファンタジー〔ファンタジー〕 
 謎多き空間…『無限回廊』を通って辿り着いた異世界。
 優柔不断で転移者の主人公カナメ、頼れる姉御肌の冒険者アリサの二人の出会いから物語は始まる。
 
 この二人のファーストコンタクトは、空から降ってくる意識の無いカナメをアリサが助けるシーンからです。しかも重力に縛られずにゆっくり降りてくる有名な某シーンとは違って物理法則に従って落ちてくる始末。
 物語が始まる前に死にかける主人公と、その死亡フラグをへし折るために抱き止めるアリサってすごい構図ですよね…。
 また、無知な転移者であるお荷物でしかないカナメに、あっさり「面倒を見てあげる」と言ってしまえるアリサ。最早どちらが主人公か分からない男前っぷりに、思わず『身を預けてしまいそうだ』と、もやしは痺れてしまいました。
 こうなると本来の主役であるカナメに立つ瀬がなくなりそうですが、彼もまだ見知らぬ土地に来たばかり。見放すにはまだまだ早く、物語が進むに連れて様々な覚悟を決め、自覚を持って成長していく様は面白いの一言です。
 ファンタジーにありがちな『ご都合主義』の成分が少なく、情景や環境や手段に合理性や整合性の説明が入るため話の進行速度は若干遅め。ですが、丁寧に上塗りされる情報に、知らず知らずにパーティに参加しているような臨場感を持ち始めます。
 ちなみに毎日朝7時の更新を続けられており、その筆の速さに同じ作者として驚きしかありません。最新話に追いついてなお、すぐに続きを読めるのは嬉しいですよね。
【170306】ヒューマンドラマ〔文芸〕
 恋愛を知らない大学生の主人公は、気まぐれに入ったカフェ『レインダンス』で一目惚れを経験する。初めての感情に戸惑い、思わず口にしたのは「アルバイトさせてください」の言葉。
 しかしバイト先の経営は火の車で、店に来る客は同じ日本という国に存在しつつ、異なった価値観・常識で生きる一癖も二癖もある変人ばかり。すぐ身近にある『知らない世界』へ足を踏み入れた主人公が、どういった行動を取るのか―――。
 
 主人公視点で進むのに物語の中心はいつでもカフェ、と設定される場面が非常に狭いにも関わらず、飽きる事無く読めてしまいます。
 主人公が若いこともあって非常に青臭く、驚きの事実や懐かしくも苦い失敗の経験が思い出し、じんわりと心に感情が広がる作品。とにかくキャラが立っていて感情の動きが特徴的なので、ある意味で物書きの勉強に良いかもしれません。
【170227】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
 ファンタジー世界の一角で、冒険者を夢見る主人公、錬金術師のアカネは訓練を怠らない。
 いつもの日常は、唯一の家族だった父親が謎の集団に殺されて失意のどん底へと沈むアカネは、決意と共に憧れていた冒険者を目指して立ち上がる――。

 優しい言葉選びと文面で進む物語は、楽観的で感情的な部分が前に出ていてほっこりする場面が多く、すっと頭に…いえ、心に降りてきます。
 その反面、失意の大きさに反して復讐に走らなかったり、初対面で素性や能力もわからない相手を仲間に引き入れたりと、主人公に高潔すぎる部分があります。それぞれに明確な動機はあるものの、理由としては弱く感じてご都合主義と見えかねませんが、主人公の人柄がなせる技だと思って暖かく見守ってください。
 しかし、王道ファンタジーと銘打つだけあり『仲間を守れるだけ強くなる』といった部分に強く惹き付けられる印象を持ちます。
 憧れの冒険者を目指すことを誓い、大きすぎる喪失感に打ち勝ち立ち上がってからが真の本編と言えるかもしれませんね。連載中の現在、どのような話が綴られるか、どのような結末を迎えるかが気になる作品です。
【170220】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
 両親との暖かな時間もまともになく、誰かが描いたかのような残念な前世を送った主人公。死亡要因がテンプレのトラックではなく、殺されてしまうところに闇の深さを感じてしまいます。新たに得た今世を謳歌しようにも前世の翳りが大きく、幸福に慣れない主人公は母親にすらも距離を置いてしまう始末。
 何とも報われない…と思いきや、いつも優しい今世の母親に次第に心を開いていく様子が描かれ、友達と呼べる相手も現れます。しかしそんな幸せも長くは続かず……と、物語は加速していきます。
 基本は主人公の一人称でしっかりと心情や情景が書き込まれており、サクサク読めるとは言い難い。また、鬱展開もそれなりに出てくるので読者を選びそうな作品ですが、読み進めるほどに内容に重みを増していきます。
 中でも『孤独主義の主人公なのに集団用スキル持ち』というジレンマに惚れて読み続けています。ただこの設定がまだ余り有効活用されていないので、今後が非常に楽しみですね。
【170206】現実世界〔恋愛〕
 非常に照れ屋・恥かしがり屋の綾は、テレを隠す為に暴力に訴えるが基本的には甘えん坊。属性で言うなれば『ツンデレ』と呼ぶべき彼女が、彼氏の辰を見る一人称視点がメインで繰り広げられるこの話。
 照れ隠しにハイキック、羞恥心をくすぐられてローキック、彼氏に甘えては前蹴りし、優しい言葉を掛けられ踏み付けるッ!まずい…少し詳しく紹介しようとしたら、思い浮かぶ全部のシーンで攻撃してる!
 しかしその彼氏の辰もなかなかのキワモノで、暴力的な返答と知りながら、絶妙な受身を武器にちょっかいを出すので問題なし!おかしい、余計に無茶苦茶になった…。ともあれ。
 
『リア充爆発しろ』
 
 たったこの一言にすべてが集約される内容のはずが、変態あり、笑いあり、シリアスありとそれだけで終わらない魅力ある作品で、読むほどに惹き込まれていきます。
 約27万文字、今回も完結作品。男側からの『ツンデレ』はしょっちゅう見ますが、ツンデレな本人の視点って余りなかったのでは?
 他にも複数作品を書かれているので、気に入られたならユーザーページから新しい話を開いてみてください。
【170130】ローファンタジー〔ファンタジー〕
 病気や突然変異と呼ぶべきか、遺伝するので種族と説明すべきか…頭に突如原因不明の『角』が現れる者たちが居る。彼等を昔話に出てくる一角の妖怪にたとえて『鬼』と呼び、災害指定の害獣として公的に排斥することが許される社会。鬼に育てられた主人公の塚野 優(つかの すぐる)は、ある組織に属して『鬼』の亡命を助ける。
 
 舞台が現代日本だからこそ、この『隣に鬼が居るかも?』と思わせる設定に惚れ、女子高生が主人公なのも意外に感じて一気読み。頻発する問題に振り回されて右往左往するところが非常にリアルで、何一つ解決しないまま物語は進み、情報の足りない主人公の視野は狭まり追い詰められていきます。
 状況をより複雑にするのは『敵と味方の線引きのややこしさ』と『自分の存在を隠さなければならない制約』。
 育った環境から妄信的・盲目的な側面を持ち、高校生らしく社会経験が乏しく物事に一喜一憂…というより凹む展開になりがちですが、最後には強靭な精神力で立ち上がります。ちなみに著者はもっと恋愛要素を入れたかったみたいですね。
 完結作品で総数11万文字、通勤・通学のスキマ時間にどうでしょう?
【170116】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
 戦火に焼かれた戦敗国マルブルの再興を目指すこの話。敗戦直後の国が戦争を始めるのだから、人や武器が足りないのは当たり前。練度はあっても数が無ければ戦力などもってのほか。 さらに重傷を負った軍師レージュと義賊の頭目ヴァンを主人公に据え、開始時点で八方塞がりという重い制約を課せられたところから始まります。
 主人公の少女が翼を持ち、古代の遺跡などのファンタジー要素もありますが、魔法やスキルのようなものは前に出ず、知略を尽くして駒を進める様が面白い。
 最強系主人公に食傷気味なら、是非ともページをめくってみてください。
【170109】推理〔文芸〕
 夜七時。会社員兼小説家川瀬の取材が行なわれることとなり、勤め先の応接室に、編集者成宮、ライター笠松、カメラマン樫木、川瀬の同僚山本、武田らが集まった。同席予定の川瀬の上司が現われるまでの雑談の中で、その場にいる者達は、「サバイバルホラー」のシミュレーションゲームを始める。

 前回紹介したまーたゃんさんから勧められたのは、既に完結された作品で、自分がなろうでは手を伸ばしたことのない推理ジャンル。
 人物紹介、ルールの構築過程はやや退屈さを感じてしまうものの、読み進めるごとに状況の異常さと緊迫感に引き込まれていきます。何より驚くべきは登場人物たちが自分たちの役割や状況を分析しながらも、この『サバイバルホラー』の流れを踏襲せざるを得ないところ。
 完結作品でもあるので、一気に読み進めることをお勧めします。
【161229】ハイファンタジー〔ファンタジー〕
異世界"バベル"のルール
Ⅰ:神隠しに遭った者は『レベル×一時間』の寿命を神に定められる。
Ⅱ:この寿命は、レベルをカンストさせれば解消される。
Ⅲ:『チート』もしくはそれに準じる物は見つけ次第、制限もしくは剥奪する。
 異世界"バベル"へと送られ、以上のルールを課せられた主人公は、延命のために自身の強化を目指して密度の濃い時間を過ごします。まさに死に物狂いでレベルを上げることになるのですが、この話の面白いところは『作者の振るダイスが行動の成否を決める』ところ。
 この制約により、敵味方関係なく、むしろ主人公ですらあっさりぽっくり次の瞬間には息を引き取っている可能性があり、片時も目が離せません。
 連載中のため、どういった結末を迎えるのか、今後とも楽しみなお話です。
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